制御盤とは?仕組みや設計と製作までの流れ、実用例を解説

2023年8月9日

制御盤は機械や設備をコントロールするためのものです。「盤」とは箱のことを指しており、制御盤の箱の中に様々な機器が格納されています。この制御盤を使うことで、製品の製造や設備の運用が適切に、計画通りに行われます。

ここでは制御盤について、その仕組みや製作の流れ、導入事例などを解説します。

1. 制御盤とは?

制御盤とは、加工や移送などの目的に適合するように機械や設備の自動制御を行う装置のことを指します。
人間で例えると脳の役割をもっていて、エレベーターやポンプ、モーターなど、自動で動く機械・設備の制御には欠かせない装置です。

1.1. 制御盤と配電盤・分電盤の違い

● 配電盤
電気は、送電の際に電圧を高くしたほうが損失は少なくなります。このため、工場など電力を多く使用する施設では、高電圧で送電される電線から電気を受け取っています。しかし、電圧が高すぎると使用できないため、減圧することで適切な電圧に変換する必要があります。この際、電線から電気を受け取り、100Vや200Vといった低圧に変換する役割を持っているのが配電盤です。

配電盤は、変圧器や遮断器、保護継電器、計器類などで作られています。電気の受け取りと変圧を行うので受変電設備とも呼ばれており、コンビニの脇やビルの屋上などに設置されています。コンビニの店舗は小さいですが、その規模のイメージ以上に電気を使用するため、受変電設備が設置されています。

一方、家庭用の電気使用量は少量のため、電柱の上に設置されている柱上トランスにより減圧され、各住宅へと供給されています。

● 制御盤
配電盤から供給される電気を受け取り、機械などを制御するために作られた箱が制御盤です。

機械を動かす際には、シーケンス制御と呼ばれる制御方法が用いられます。シーケンス制御はよく使用されている制御方法です。エレベーターや産業用のロボットなど、自動で動作する機器に使用されており、JISの定義では「あらかじめ定められた順序又は手続きに従って制御の各段階を逐次進めていく制御」とされています。つまり、あらかじめプログラムを組んでおき、そのプログラム通りに電気を制御する方法です。

このシーケンス制御を行う際にプログラムを実行する機器は、PLC(Programmable Logic Controller)やシーケンサと呼ばれています。

● 分電盤
住宅にはブレーカーと漏電遮断器がついた箱が設置されています。電気を使いすぎるとブレーカーが落ちて停電することがありますが、ブレーカーを上げれば再び電気が流れます。この箱は分電盤と呼ばれており、配電盤の下流に設置されます。この分電盤は、使用電力を規定値以下に抑え、漏電や短絡による事故を防ぐ共に、配電盤から供給される電気をそれぞれの回路に適切に振り分けています。制御盤にもこの分電盤の機能が内蔵されています。

2. 制御盤を構成する電子部品

制御盤は様々な電気、電子部品から構成されています。今回は、制御盤に使用される代表的な機器をご紹介します。

2.1 ブレーカー

ブレーカーは主に短絡した際に流れる大電流から回路や作業者を保護するために使用されます。
ブレーカーは一定以上の電力を消費すると動作し、トリップしてオフになります。これにより短絡事故を防ぐと共に、電力消費の異常上昇も管理できます。短絡事故防止は感電による重大な事故につながることもあります。

2.2 リレー

リレーは制御回路で使用されるスイッチです。
電磁リレーとも呼ばれており、電磁力でオンとオフを切り替えることで、電気信号を伝達することができます。

2.3 UPS

UPS(無停電電源装置)とは、停電などで電気が確保できない状況でも、一定時間電気を供給し続けることができる装置のことです。
電源トラブルを防ぐためには、欠かせない装置です。

2.4 その他

そのほかには、通電しているかどうかを確認するためのランプ、モニター用の電流計や電圧計、盤内を冷やすための空冷ファン、制御盤を制御するためのタッチパネルやモニター、使用中に扉が開いたことを感知するためのセンサーなども使用されています。

3. 制御盤の設計と製作の流れ

制御盤は複雑な設計になることが多いため、設計から製造までを一社で対応するのは難しい場合があります。しかし三笠精機では、設計から製造、認証取得まで、全ての工程をワンストップで提供しています。

ここでは、三笠精機の制御盤の設計から製作までの流れをご紹介します。

3.1. 製作仕様書の作成

設計の前には、どのような機能を持った制御盤が必要なのか、誰が設計・製作するのか、使用する場所はどのような環境か、屋内か屋外か、どの認証が必要かなどを確認します。この時点で認識の違いがあると後々トラブルの種となるため、クライアント様、設計者、製作者を交えて入念な打ち合わせを行います。この打ち合わせで仕様を固め、製作仕様書が作られます。

3.2. 電気回路設計・部品手配

仕様書が出来たら、各設計担当者が作業を開始します。必要な部品が分かれば設計と並行して発注します。

設計は、総合電気設計が行えるEPLANを使用して行います。EPLANは電気回路の設計と同時に筐体及び内部の3D設計もでき、煩雑な手作業が効率化できるため、作業工数を大幅に削減できます。さらに、シーケンス制御のため制御設計がプログラマーにより行われます。

3.3. 電気配線

電気設計が終わり、筐体設計も完了すると、実際に筐体が作られ、筐体内にパーツが設置されます。設置の作業では、熟練の技師が図面を見ながら取り付けます。制御盤が完成すると、実際に仕様書通りに動作するか、様々なテストが行われます。

4. 三笠精機の制御盤の特長

三笠精機では、品質を大切にすることはもちろん、納品のスピードも重視しています。設計から製作まで一貫して対応できる三笠精機ならでは迅速対応で、近年は年間約1,000台の制御盤を製作しており、日本全国のお客様のご要望に対応しています。

>>三笠精機の強み

5. 三笠精機の制御盤の事例

三笠精機ではこれまで、様々な制御盤を製作して参りました。ここではその一例をご紹介します。

5.1. 搬送用設備の制御盤

ある設備メーカー様の搬送用設備の制御盤の設計及び製造を行いました。この設備ではロボシリンダを多軸で使用しており、複雑な動作を行います。この制御設計を行うと共に、セーフティリレーユニットを設置して安全回路を構築し、安全性を高めました。この制御盤は3週間の短期間で納品を完了しました。

5.2. 冷却装置制御盤

ある設備メーカー様から冷却装置の制御盤製作の依頼がありました。図面はすでに製作されていましたが、設置場所が狭いためもう少し 高さを抑えられないかとお悩みでした。そこで、図面を少々変更し、嵩上げDINレールを使用すると共に端子台に角度を付け、2次配線に工夫をすることで機器をコンパクトにまとめ、制御盤の高さを抑えることに成功しました。こちらも3週間の短期間で納品を完了しました。

5.3. モーターを制御する制御盤

プラント設備のレンタル事業を手掛けるメーカー様より、既存の制御盤をアップグレードして欲しいとご依頼をいただきました。制御盤はモーターの制御に使用しますが、モーターの数を増やすために大電力化が必要とのことでした。一方では制御盤の設置場所を変更しないという制限がありましたので、既存の制御盤とほぼ同じ大きさで大電力化を行わなければなりません。

このため、端子台を立体的な2段配置に設置することで、2次配線のスペースを確保しました。端子台と同じ広さのスペースが使用できるようになったため、機器類を再配置することで大電力化する際に追加の必要が出ていた機器類も配置できるようになりました。この制御盤は2週間で納品を完了しました。

6. まとめ

制御盤とはその名の通り、機械や設備を制御するためのものです。様々な機器から構成されており、複雑なシーケンスを実行できます。

三笠精機では、この制御盤の設計から製造、認証取得、アフターフォローまで、一貫した対応でお客様のご要望にお応えしています。制御盤に関することなら、まずはぜひ三笠精機にお問い合わせください。