ここに注意!「リスクアセスメント」
リスクアセスメントの注意点は多数ありますが、まとめると次の2つのポイントになります。
- できるだけ多くの意見を出し合う(危険源の見落としを避けるため)
- 数値等だれでも同様の結果になるような基準に基づく評価基準を設ける
類似機等がある場合、「既に対策は十分だ」ということも多いと言えます。一方で「その対策が最適か」という点の評価は難しいです。
例えば、普段過剰な対策だと感じていても、「これまでずっとこの構造だったから」といった理由で変更していない事例もあります。ここを一度リセットすることで、最適な構造にすることが可能です。
危険源はすべてリストアップすべし!
リスクというと、実際の危険事象や危害をイメージしがちです。しかしそのイメージですと「こんなところにはまず手を入れることはないから…」「ここはカバーがあるから…」という考えに陥り、リスト化から漏れてしまいます。
結果的に「こういう条件が重なると手を入れるかもしれない」といったリスクを見落とすことに繋がります。
そのため、まずは「危険源」となり得るものすべてをリストアップすることが重要です。

具体的に、詳細に記載することが大切
「たまに」「大けがをする」「高い確率で」「出血する」といった曖昧な表現はNGです。「どちらが重大なリスクなのか?」「許容してもいいのか?」といった判断のブレにつながります。そして、結果的に人によって意見が分かれてしまいます。
それらを避けるためには、「〇年に〇〇回」「30%程度の確立で」「大腿骨を骨折する」「数針縫合が必要な出血をする」など、できるだけ詳細に記載することで、誰もが同様の評価ができるようになり、評価の見直しもやりやすくなります。
対策が複数ある場合は、個別に考える
例えば、ロボットアームという危険源について、ドア付ガードフェンス、セーフティードアスイッチ、セーフティーエリアセンサー、といった対策を検討するとします。
この際、一つの危険源である「ロボットアーム」に対し、一つの対策として「ドア付ガードフェンスとセーフティードアスイッチとセーフティーエリアセンサーで対策する」と捉えてしまうと問題が生じます。同時にリスクアセスメントを行ってしまうと、「十分か?」「過剰か?」が分かりにくくなってしまうからです。
また「PLr」(要求レベル)決定時にオーバースペックを要求してしまうことにもなりかねません。
この場合、危険源「ロボットアーム」に対し、対策は
- ドア付ガードフェンス
- セーフティードアスイッチ
- セーフティーエリアセンサー
と3つに分けるべきです。無意識に複数の対策をひとかたまりで考えてしまいがちです。そのため、リスクアセスメントシートに記載する場合等、「ひとつの危険事象について、基本的に複数行記載する」などあらかじめ決めておくことが大切でしょう。
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