安全性は「PL計算」で評価する
2025年4月21日
対策には「わかりやすいもの」と「評価が難しいもの」がある
リスクへの対策のうち、機械的なものは効果がわかりやすいといえます。具体的には「重量を軽くする」「ギア比を変えて圧力を下げる」「ガードフェンスを置く」などです。
これらの場合、別途、部品選定等の妥当性検証を行う必要性は高くありません。
一方で、「ライトカーテンでコンタクタを落として電源遮断する」といった電気制御による対策はどう考えれば良いでしょうか。
これは「その安全回路が正しく動作すれば安全が担保される」もの。つまり、「安全回路が正しく動作しないリスク」を別途評価しなければなりません。

不安な要素を数値化するには?
例えば、導入したライトカーテンが次のようなものだったらどうでしょう。
- ライトカーテンとコンタクタは非常に安価なもので、共に安全規格で認証されたものではない
- コンタクタは二重化されておらず、故障検知のフィードバックもない
上記のような構成であったら「止まらずに巻き込まれたら即死するような危険な箇所」で使用することは誰でも不安に思うでしょう。
このような不安な要素を数値計算によって評価する方法が、ISO 13849 によるPL計算です。
例えば、部品の寿命、想定使用回数、冗長化しているか、故障検出できるか、容量等に余裕があるか、といったともすれば抽象的な評価にならざるを得ない要素を、複雑な数値計算を用いて評価。危険な故障をする確率を計算し、安全レベルを分類するのです。
要求レベル(PLr)は、その安全機能が故障した場合のリスクを元に決定し、PLrに満たない回路はそもそも対策として不適合と判断されます。 つまり、電気制御に依存する対策では、全てPL計算等で妥当性検証をすることが重要なのです。
制御盤と海外規格 大辞典
- 制御盤と海外規格 Q&A Q DC24Vのセンサーやバルブも「CEマーク付き」であることが必要でしょうか?
- 制御盤と海外規格 世界の規格、マーキング、認証機関
- 制御盤と海外規格 機械類に必要な3つのマニュアル
- 制御盤と海外規格 海外規格にあたって注意すべき3つのポイント
- 制御盤と海外規格 適合の基本原則「優先すべき規格」「適合させるべき規格」とは?
- 制御盤と海外規格 理解すべきマイナー規格とは? 『UL508A』『NFPA79』以外の規格を解説