米国での承認・認証の流れ
『北米規格の歴史と概要』に記載した通り、米国で装置を使用するためにはAHJの承認もしくは認証機関(NRTL)の認証マークが必要ですが、その詳細な部分について解説します。
NFPA 70 (National Electrical Code) とは?
労働省のOSHAが規定しているOSHA規則の中に、NFPA 70という規格が丸ごと採択されています。
つまり、NFPA 70は米国の法律と同等と捉えることが適切です。
NFPA 70 は、「National Electrical Code」というタイトルで、NECと略されます(本大辞典でも、主にNECと記載します)。
NECは電気に関する非常に広範囲の基本的な要件を規定していて、他の詳細規格の基礎となっています。 例えば機械類では NFPA 79 が主に参照されますが、全てNECをベースにしつつ機械類特有の要件を規定しています。
そのため、認証機関等がField Evaluation を実施する際は、NECではなくNFPA79など他の規格を参照した評価スキームを適用することが一般的です。
OSHA要求の「承認」の条件とは?
NEC 90.7 において、(AHJが)装置を評価する際、(NRTLによって)認証された製品は、その後改造や破損以外の要素を追加で評価する必要がないことが明記されています。
ここでいう「認証」は、NEC 110.2 および110.3 において、「Listed」もしくは「Labeled」の製品が対象であることがわかります。
「Listed」とは、認証機関の認証データベースに載っている、という意味であり、「Labeled」とは、製品に認証マークが貼られているという意味です。
ここで注意が必要なのが、ULによる「Recognizedマーク」です。
ULの「Recognizedマーク」は、ULの認証データベースで確認できますし、製品にもマークが貼られますが、NEC 110.3 のListed やLabeled には該当しないという解釈がなされます。
つまり、レコグナイズド(Recognized)製品は単体では無条件で使用可とはならず、組み合わせた最終製品で適合性を評価されます。
また、Field Evaluation がなされた製品についても、製品にはField Evaluation ラベルが貼られますが、厳密には110.3のLabeled には該当しないと解釈されます。

とはいえ実際は、レコグナイズドコンポーネントや、Field Evaluation ラベルが貼られた装置は、AHJは承認の際に高く評価されます。
厳密には自治体ごとにルールがありますが、特にNRTLによるField Evaluation は事実上適合として扱われます。
逆に言うとNRTL以外のField Evaluation Body によるField Evaluation は、追加の指摘を受ける可能性がありますのでご注意ください。
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