適合の基本原則「優先すべき規格」「適合させるべき規格」とは?
規格の3分類とその考え方
ISO/IEC の規格は以下のように、大きく3段階に分けられます。
- タイプA「基本安全規格」広範囲の製品についての基本概念、原則など
- タイプB「グループ安全規格」一定の製品グループについての安全要求など
- タイプC「製品安全規格」特定の製品について特化した規格
■「タイプA」「タイプB」「タイプC」の関係と規格の全体像

各国の規格は ISO/IEC に整合化しているため、同様の規格がそれぞれの国に(もちろん日本にも)あります。
規格適合の優先順位は、タイプC規格の方が上です。つまり、工作機械など具体的な規格が存在するならそれに適合させる必要があり、コンベアやバルブなどを組み合わせたカテゴリ分類しにくい機械は、タイプB規格などに適合させることになります。

個別規格への適合、電気規格への適合
機械類に適合すべき規格は、ほぼ全ての場合で電気規格に、そして個別規格がある場合は追加で個別規格への適合が必要です。
◎個別規格への適合
前述の通り、個別規格とは工作機械やエレベーターなど特定の装置や機械に関する規格です。この個別規格が定められているカテゴリの製品は、規格に適合するために該当する個別規格に従って設計および製造する必要があります。
JIS Z 8051 (ISO/IEC ガイド51)での規格適合の原則は、
- 製品に特化した個別規格がある場合はその個別規格を優先する
- 個別規格がない場合や、あっても細かな要求がない事項についてはグループ安全規格を適用する
というものです。
一般的に、「工作機械」や「プレス機械」など市場規模が大きく流通量が多い製品カテゴリや危険性の高い製品カテゴリの場合は、個別規格が存在することが多いです。
◎電気規格への適合
電気規格は電気に関する規格を定めており、国際電気標準会議(IEC)規格など電気専門規格として単独で存在する場合が多く、専門性の高い分野です。制御盤は電気を制御しますので、設計および製造の際にはこの電気規格を参照する必要があります。
装置は『個別規格への適合』に記載した機械構造的な要求の他に、電気的な要求にも適合させる必要があります。一般的な機械の場合は、基本的にJIS B 9960-1 (IEC 60204-1)への適合が必要です。欧米でもNFPA79やEN60204-1など、ほぼ同様の要求があります。
なお日本には、古くから「内線規程」に代表されるJEACなどの民間自主規格が存在しますが、IEC規格への整合化が完了していないものも多く、注意が必要です。
民間規格ですので、追加で要求される場合に適合させること自体は問題ありませんが、適切なJISやIECの規格に不適合となる要素があれば、JIS規格を優先すべきです。

例えば、機械類の制御盤でよくある事例としては、スイッチの色や電線色はIEC60204-1 (JIS B 9960-1)で推奨色が限定されていますので、AC/DCの全ての制御線が黄色であったり、起動ボタンが赤色といったものは、個別規格で規定がない限りはNGとなると考えられます。
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